服部彰夫氏と作品について(20・最終回)
服部彰夫氏の代表作は、長編「砂丘」81手詰であり、発表は昭和32年10月詰パラだ。
その後に近代将棋誌の山田修司著「名局リバイバル」に取り上げられて、詳しく解説された。
服部氏は、『三百人一局集』(詰パラ臨時増刊・1981)に於いても自ら選んで、自作解説している。
平成17年7月の第一作品集『砂丘』の題名としても採用して、最終の第100番として掲載された、解説は岡田敏氏であり、その詳細な内容は作品の魅力を詳しく伝えている。
後に、服部氏は、作品集『砂丘』以降の作品を集めた第二作品集『古武士の詩』を刊行した。
その最終の第120番として「砂丘」を、作品集『砂丘』との唯一の重複作として掲載した、それは「砂丘」が服部氏の代表作であり作者自身の好きな作品であるからだ。
そして作品集『古武士の詩』の解説では作品集『砂丘』の岡田敏氏の解説がそのまま再掲されている、如何に服部氏の気に入りの内容の解説だったかが判る。
服部さんは『三百人一局集』の自作解説で「(前略)。本作完成後小駒、及び全駒使用の無防備玉創作に取り組んでいましたが、本作の手順が素晴らし過ぎて駒の種類が増加しても本作の手順以上の手順が出来ず未完に終り、以後の創作に大きく影響を及ぼした思い出の作品です。」と書いている。
岡田敏氏の解説は作品集『砂丘』か作品集『古武士の詩』を是非読んでいただきたい、そこで引用されている発表時の解答者のコメントの上田嘉広氏「三歩登ったと思ったら二歩足許が崩れ落ちてゆく始末で・・。やっとのことで頂上(終局)に辿りついた時には完全にグロッキーになってしまった。砂丘とは旨い名をつけたもんですなア」が本作の作品名の意味だ。
香龍会やその後の食事会での話題は多岐だったが、「砂丘」については繰り返し話した事を憶えている、『三百人一局集』の自作解説は聞きたい事だらけだった。
近藤真一氏は「詰将棋作品の命名の中では、「砂丘」が命名と作品内容特に手順がぴったり一致している、と思う」と言っていた、上田嘉広氏のコメントと同じ意味だ。
私は条件作が大好きで、多重条件作「砂丘」についての話を服部さんに何度も尋ねた、いや最初は金銀図式位しか作図していなかったのだが、後に色々な条件作を作ったのは服部さんとの話の影響かも知れない。
だが服部さんから「条件ではなく、手順が大事だよ」と言われるのは確実だろう。
「服部彰夫氏と作品について」は今回で終わります、服部さんの作品検討を辞めた後の作品集『古武士の詩』の作品は機会があれば取り上げたい。
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服部彰夫作「砂丘:第100番」「砂丘」

作意:47と・35桂合・同香・45玉・37桂・44玉・54と・35玉・36と・34玉・45と・33玉・25桂右・22玉・23歩成・11玉・21と・同玉・31歩成・11玉・12と・同玉・24桂・11玉・12桂成・同玉・13歩成・11玉・12と・同玉・27と・14歩合・同香・22玉・32と・23玉・13桂成・32玉・43と・同玉・53と左・33玉・34歩・24玉・35と・同玉・36と・34玉・25と・44玉・54と・33玉・45桂・32玉・33歩・21玉・12成桂・31玉・42と・同玉・53桂成・51玉・52成桂・同玉・63と左・42玉・56桂・42歩合・同香成・同玉・53と左・51玉・61歩成・同玉・72香成・同玉・63と行・83玉・84歩・74玉・64と まで81手
昭和32年10月詰パラ。
3手目で「桂香歩」全駒使用の無防備玉となる、小駒図式・桂香歩図式(小駒貧乏図式)、無防備図式の多重条件作だ。
この条件作では、詰上り図は本来は関係はないのだが、本作では初形にある下段(入玉側)の駒が全て捌けてしまう事が詰上り図で判る、それは見逃せない本作の特徴となっている。
初形の「18と」「38と」や下段の桂はどうなったのか、その動きは驚きだ。
それが命名「砂丘」を連想させる手順を産んでいる。
詰上り図

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岡田敏作「群流」:第60番「数字・9」

作意:56香・同竜・43銀不成・55玉・54銀成・同玉・21馬・55玉・54馬・同玉・43飛成・55玉・47桂・同竜・54竜・同玉・56香・同竜・63銀引不成・55玉・67桂・同竜・46金 まで23手
詰上り図

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第1319番は、「詰図の舞」「図形・小ダイヤ(17玉・重心37)」だ。
第1323番は、「詰図の舞」「図形・小ダイヤ(34玉・重心34)」だ。
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第1323番:「詰図の舞」「図形・小ダイヤ(34玉・重心34)」

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2025/10/06 の作意
第1319番:「詰図の舞」「図形・小ダイヤ(17玉・重心37)」
作意:48歩・同金・39桂・同金・48歩・46玉・35銀・36玉・45馬・同玉・46銀打・36玉・16飛・27玉・26飛・17玉・28金 まで17手
詰上り図

その後に近代将棋誌の山田修司著「名局リバイバル」に取り上げられて、詳しく解説された。
服部氏は、『三百人一局集』(詰パラ臨時増刊・1981)に於いても自ら選んで、自作解説している。
平成17年7月の第一作品集『砂丘』の題名としても採用して、最終の第100番として掲載された、解説は岡田敏氏であり、その詳細な内容は作品の魅力を詳しく伝えている。
後に、服部氏は、作品集『砂丘』以降の作品を集めた第二作品集『古武士の詩』を刊行した。
その最終の第120番として「砂丘」を、作品集『砂丘』との唯一の重複作として掲載した、それは「砂丘」が服部氏の代表作であり作者自身の好きな作品であるからだ。
そして作品集『古武士の詩』の解説では作品集『砂丘』の岡田敏氏の解説がそのまま再掲されている、如何に服部氏の気に入りの内容の解説だったかが判る。
服部さんは『三百人一局集』の自作解説で「(前略)。本作完成後小駒、及び全駒使用の無防備玉創作に取り組んでいましたが、本作の手順が素晴らし過ぎて駒の種類が増加しても本作の手順以上の手順が出来ず未完に終り、以後の創作に大きく影響を及ぼした思い出の作品です。」と書いている。
岡田敏氏の解説は作品集『砂丘』か作品集『古武士の詩』を是非読んでいただきたい、そこで引用されている発表時の解答者のコメントの上田嘉広氏「三歩登ったと思ったら二歩足許が崩れ落ちてゆく始末で・・。やっとのことで頂上(終局)に辿りついた時には完全にグロッキーになってしまった。砂丘とは旨い名をつけたもんですなア」が本作の作品名の意味だ。
香龍会やその後の食事会での話題は多岐だったが、「砂丘」については繰り返し話した事を憶えている、『三百人一局集』の自作解説は聞きたい事だらけだった。
近藤真一氏は「詰将棋作品の命名の中では、「砂丘」が命名と作品内容特に手順がぴったり一致している、と思う」と言っていた、上田嘉広氏のコメントと同じ意味だ。
私は条件作が大好きで、多重条件作「砂丘」についての話を服部さんに何度も尋ねた、いや最初は金銀図式位しか作図していなかったのだが、後に色々な条件作を作ったのは服部さんとの話の影響かも知れない。
だが服部さんから「条件ではなく、手順が大事だよ」と言われるのは確実だろう。
「服部彰夫氏と作品について」は今回で終わります、服部さんの作品検討を辞めた後の作品集『古武士の詩』の作品は機会があれば取り上げたい。
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服部彰夫作「砂丘:第100番」「砂丘」
作意:47と・35桂合・同香・45玉・37桂・44玉・54と・35玉・36と・34玉・45と・33玉・25桂右・22玉・23歩成・11玉・21と・同玉・31歩成・11玉・12と・同玉・24桂・11玉・12桂成・同玉・13歩成・11玉・12と・同玉・27と・14歩合・同香・22玉・32と・23玉・13桂成・32玉・43と・同玉・53と左・33玉・34歩・24玉・35と・同玉・36と・34玉・25と・44玉・54と・33玉・45桂・32玉・33歩・21玉・12成桂・31玉・42と・同玉・53桂成・51玉・52成桂・同玉・63と左・42玉・56桂・42歩合・同香成・同玉・53と左・51玉・61歩成・同玉・72香成・同玉・63と行・83玉・84歩・74玉・64と まで81手
昭和32年10月詰パラ。
3手目で「桂香歩」全駒使用の無防備玉となる、小駒図式・桂香歩図式(小駒貧乏図式)、無防備図式の多重条件作だ。
この条件作では、詰上り図は本来は関係はないのだが、本作では初形にある下段(入玉側)の駒が全て捌けてしまう事が詰上り図で判る、それは見逃せない本作の特徴となっている。
初形の「18と」「38と」や下段の桂はどうなったのか、その動きは驚きだ。
それが命名「砂丘」を連想させる手順を産んでいる。
詰上り図
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岡田敏作「群流」:第60番「数字・9」
作意:56香・同竜・43銀不成・55玉・54銀成・同玉・21馬・55玉・54馬・同玉・43飛成・55玉・47桂・同竜・54竜・同玉・56香・同竜・63銀引不成・55玉・67桂・同竜・46金 まで23手
詰上り図
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第1319番は、「詰図の舞」「図形・小ダイヤ(17玉・重心37)」だ。
第1323番は、「詰図の舞」「図形・小ダイヤ(34玉・重心34)」だ。
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第1323番:「詰図の舞」「図形・小ダイヤ(34玉・重心34)」
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2025/10/06 の作意
第1319番:「詰図の舞」「図形・小ダイヤ(17玉・重心37)」
作意:48歩・同金・39桂・同金・48歩・46玉・35銀・36玉・45馬・同玉・46銀打・36玉・16飛・27玉・26飛・17玉・28金 まで17手
詰上り図
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